第4回 一語一得 希望条件の決め方 其の3 「陽当り」「地型」編
前回は「駅距離」「住環境」をお伝えさせて頂きましたが、今回は「陽当り」「地型」についてご説明させて頂きます。
陽当り ~世界中のすべての人が望むもの。それが「陽当り」~
陽当りにこだわるか、こだわらないかで、物件の価格は大きく変わります。
物件の査定をする際には、東道路と南道路の物件での上昇率はプラス8%~10%。もっとも陽当りが良いと言われる東南の角地になるとプラス13%~15%の価値上昇となります。
同じ場所、同じ面積でも道路付けが異なるだけで
東道路100平方メートル 5,500万円(坪単価181万円)
南道路100平方メートル 5,940万円(坪単価196万円)
東南角100平方メートル 6,220万円(坪単価205万円)
という価格差が生まれてきます。
同じ場所、同じ広さでも、陽当りの対価が700万円超!となると、ちょっと怯むところがありますよね。
相場よりも高いお金を出す以上、自分にとってその陽当りが本当に必要かどうかを慎重に考えて頂く必要があると思います。
例えば、「全室にサンサンと陽当りが欲しい!」。こういう場合は間口の広い南道路の物件が必要になります。
逆に、「LDK にさえ日が入れば別に構わない!」ということであれば、北道路の土地でも、2階にLDKを持ってきて、天井を吹き抜けにするだけで、サンサンと陽の入るLDKは作れるのです。
南道路のデメリット ~南道路は万能ではない~
南道路は万能か?と言われると、実はそうでもありません。
地価が高騰するバブル前までは、東京23区内でも60坪~100坪位の売買が一般的でした。それが地価高騰後は当然ながらその面積での売買は物理的に難しくなり、今では24坪~30坪位の土地面積が一般的になりました。
土地が小さくなると、どのような弊害があるのか?それは立派なお庭が作れないということです。スペースの関係もあり外構もいわゆるオープン外構(道路上に塀や垣根がない状態)が主流となりました。
それではみなさん、実際に街を歩いて南道路の家を意識的に見て下さい。
南道路で規模の小さいオープン外構の家は、道路から南側の窓が丸見えです。なので、昼からレースのカーテンが必須の状態になっています。そう、南道路の物件は採光を取るための窓が道路に面しているため、プライバシー性ではどうしても劣ってしまうのです。
せっかく陽当りが良い南道路土地なのに、カーテンを開けることもできない、、、。それなら北道路でも南側の採光面が隣地に面しており、そちらに開口を取るほうがプライバシー性も景色も良いということがあるのです。
南道路の価格と一長一短を見極めて、自分の中での優先順位を付けることが大切です。
地型 ~希望エリアで予算内の物件が見つからない場合の解決策。それは地型を妥協すること~
間口10M の整形地「A区画」と間口2.5Mの旗竿形状の土地「B区画」。
どちらの土地が欲しいですか?と問われれば99%の方はA区画を選択するでしょう。陽当りも、風通しも、眺望も良いから当然ですよね。
じゃあ、これならどうでしょう。同じ場所で1,200万円も価格が違えば?これならB区画が良いと思う方が断然多くなります。そうなんです。一般的に旗竿形状の土地は、整形地に比べて20%近くも価格が下がるのです。
それだけ安い「旗竿形状の土地」(業界用語では敷地延長、略して「シキエン」と呼んでいます。)の土地は以下のようなデメリットがあります。
1,四方が建物に囲まれているケースが多く、必然的に陽当り、眺望が悪い
2,接道間口が狭いため、車両の駐車や、玄関へのアプローチにストレスを感じる事がある。
ということで、陽当り、眺望を望まれる方や、大きい車に乗りたい、車の運転技術に自信がないという方にはあまりオススメできません。
一方、旗竿形状の土地だと「将来的な価値が下がるから、、、」「売りづらくなるから、、、」という理由で敬遠される方もいますが、これはあまり関係ありません。自分が買う時点ですでに相場の2割引で購入しているわけで、将来売りに出す時も相場の2割引で販売に出せるからです。
むしろ最近は建築技術が向上し、旗竿形状の土地でも二階にはうまく採光が取れるようになっているので、大型分譲現場だと、安く手に入るという理由から、旗竿形状から先に売れていく傾向にあります。
以上、全3回にわたって各条件の特徴をお伝えさせて頂きました。総括させて頂くと、すべてを叶えるとパーフェクトな物件になるのと引き換えに、自分の予算をオーバーしてしまう方がほとんどです。
設定された予算では、すべてが叶えられない場合は、ご自身にとって、妥協できる点、妥協できない点を整理し、条件の優先順位を決めていただくことが、無理も無駄も無い家探しの秘訣です。
★今回の一語一得★
各条件の特徴を理解し、ご自身のライフスタイル、将来性も含めて何が必要で何が不要かを考慮して、各条件の優先順位をつけることが、条件整理の第一歩です。
この記事を書いた人
- 殖産ベスト 専務取締役
- 古川 秋治
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