地盤調査Q&A|費用は?タイミングって?結果の見方や悪いときの対処など素朴な疑問に答えます!
土地や一戸建ての購入を検討するときに、気になる地盤調査。
「費用がかかりそうな地盤調査や地盤改良はやりたくない…」「そういうのを避けられる土地を購入したい」という人も多いかもしれませんね。
でも、建物を建てる上で、その土地がどういった地盤なのかを知ることはとても重要なこと。しかも、地盤調査は法律によって義務化されています。
この記事では、不動産のプロができるだけ簡単にわかりやすく、地盤調査の方法や費用、タイミングなどの基礎知識を解説します!
地盤調査とは?
地盤調査とは、建物を建てる前に、その土地の地盤の状態に問題がないかを確認する調査です。
かなりの重さの住宅が載る土台の地盤の状態を知らずに住宅を建ててしまうと、建物が傾いたり地盤沈下を起こしたりすることも。
そんな取り返しのつかない事態を避けるために、住宅の建築前の地盤調査はとても重要です。
ちなみに中古戸建の場合は、基本的には地盤調査は行わず、現況のままでの引渡しになります。
地盤調査をすることで構造計算ができる
地盤を調査することで、建物自体やその中に入るものの重さ、地震や風などの影響に耐えれるかを示す構造耐力を建築前に計算する「構造計算」ができるようになり、建造物の安全性などを判断する基準になります。
建て替えにも地盤調査は必要
建て替える場合も、建てる場所や建物の形状によって地盤の必要強度が少なからず変わってきます。建て替えする前にはしっかりと地盤調査をして、必要に応じて地盤改良をすることが大事です。
戸建て住宅の地盤調査の方法・やり方は?
地盤調査の方法には、大きく分けて「ボーリング調査」と「SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)」の二つがあります。
ボーリング調査は、マンションのような大規模建築物や地下のある建物を建築するときの調査方法。一般的な戸建て住宅でよく採用されるのは、SWS試験です。
戸建の住宅の場合は、SWS試験が一般的
SWS試験は、元々「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていて、聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
先端がスクリュー状になった棒に重りをつけ、回転させながら地面に貫入していき、回転数や重りの重量から地盤の強度を調べます。
住宅を建てる予定の土地の、四隅と中央部の計5カ所を調査するのが一般的です。
地盤調査はいつするの?タイミングと調査にかかる時間はどれくらい?
よく「地盤調査は、土地を販売する前にしておいてくれればいいのに…」という声を聞きますが、どういった建物をどの位置に建てるのかがわからないと、地盤調査は難しいんです!
地盤調査のタイミングは、家のプランが決まってきたら
地盤調査は、その地盤がどの程度の建物に耐えれるかなどを調べるもの。
建物形状はどのようなものか、どのような重さの建物なのか、土地に対してどの位置に建てるのかなど、ある程度建てる家のプランが決まってきたところで行います。
地盤調査にかかる時間は、半日~1日程度
一般的な戸建て住宅で行われるSWS試験にかかる時間は、半日~1日程度が目安です。ボーリング調査は、1日~数日かかることも。
地盤調査の結果は、正確な結果が出るまでは数日かかりますが、地盤改良が必要かどうかの簡易的な値はその場でもわかります。
地盤調査の費用はいくらぐらい?
SWS試験は、5~10万円が目安です。ボーリング調査は、大体25~30万円程度ですが規模によります。
これらは調査費用で、地盤改良が必要な場合は別途費用がかかります。
地盤調査の費用は誰が負担する?
地盤調査の費用を誰が負担するのかは、ケースバイケース。
土地を購入して家を建てる、建売、建て替えの場合など、それぞれの費用負担の違いは以下の通り。
費用負担者 | 地盤調査のタイミング | |
土地を購入して家を建てる | 買主 | 家を建てる前 |
建売住宅 | 売主(建売業者) | 家を建てる前 |
建て替え | 建て替え主 | 家を建て替える前 |
地盤調査の結果や報告書の簡単な見方ってある?
地盤調査の結果は、地盤調査報告書としてまとめられます。
専門用語が多く、また地盤調査会社によって表記が多少異なるため、詳しくない人が見てもわからないことがほとんど。詳細や不明点は調査会社にしっかりと説明をしてもらいましょう。
ただ、ぱっと見でも簡単にわかる、注意すべき表記が一つあります。
貫入状態の項目に「ストン」の記載があるかどうかをチェック
「貫入状態」の項目に、「ストン」の表記があると自沈層があるということです。
自沈層とは、スクリューを回転しなくても、重りの重さだけでロッドが沈んでしまう軟らかい地層を指します。
ただし、これだけで地盤改良の必要性を判断できないこともあるので、あくまでも目安に。
結果が悪い…。地盤改良が必要となったときはどうするの?費用は?
地盤を調査して、十分な強度がないという結果が出た場合でも、地盤改良工事を行うことで安心な住宅を建築することができます。
一般的な戸建てに用いられる地盤改良の工法には、弱い地盤の深さによって3つの種類があります。
1. 表層改良工法|弱い地盤が2m程度で浅い場合
弱い地盤が地表から2m以内に収まっている場合、2mほど土を掘り、セメント系の固化材を流し込み地盤を補強します。
建物面積20坪に対し、50万円程度が相場。
2. 柱状改良工法|弱い地盤が8m以内の場合
地面に開けた穴へ、何本ものコンクリートの柱を打ち込んで地盤を補強する工法です。弱い地盤が地表から8m以内に収まっていれば、この工法が選択できます。
建物面積20坪に対し、100万円程度の費用がかかります。
3. 鋼管杭工法|弱い地盤が30m程度と深い場合
地表から30m程度の深い地層まで地盤を補強する必要がある場合は、柱状改良工法とほぼ同じ方法ですが、コンクリートの柱ではなく鋼管で地盤を打ち込む鋼管杭工法を用います。
建物面積20坪に対し、140~150万円程度が相場です。
「地盤改良」をもっと詳しく知る
地盤改良が必要な土地かどうかはいつわかる?費用は?流れや注意点、工事の種類などをわかりやすく解説!
地盤調査マップって?
調べたい住所を入力するだけで、地盤の強さや地震発生時の揺れの具合、浸水履歴などいろいろ見ることができる、「地盤調査マップ」と呼ばれるサイトもいくつかあります。
もちろんこれだけで「地盤改良の必要はない土地」とまでは判断しきれないですが、不動産探しのときの参考になりますよ。
参考:地盤サポートマップ
地盤調査には、費用がかかることを忘れずに
強固な家を建築しても、地盤が軟弱だと地盤沈下という大変な事態になってしまいます。
一戸建ての新居で安心して生活ができるよう、事前の地盤調査と、必要であれば地盤改良工事は欠かせません。ある程度の費用がかかることなので事前の資金準備もしておくと安心です。
「地盤調査」について解説した不動産のプロは、この人
- 殖産ベスト株式会社
- 加治木 正文(かじき まさふみ)
- 不動産という一生に何度もない大きな買い物を前にして、ぞれぞれの好みも違えば要望も多種多様、さらに悩みや不安を抱えている方はたくさんいらっしゃいます。そんな皆さまの立場になって一緒に考え、悩み、地域に根ざした新鮮で豊富な不動産情報とプロの目線で、微力ながらもお力添えできれば最高です!
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宅地建物取引士 - 物件探しはこちらから
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