古民家でいただくこだわり食材の“お米御膳”で身も心も癒される…西荻窪「松庵文庫」
-
-
杉並区
グルメ
-
築80年にもなる古民家をリノベーションした、ブックカフェ&ギャラリー「松庵文庫」。地元の人々はもちろん、遠方からもわざわざ訪れるほど、知る人ぞ知る人気店です。店主こだわりの食材を使ったランチをご紹介します!
樹齢100年の大ツツジが見える癒しの古民家「松庵文庫」
西荻窪の改札を出て右。南口を出て商店街を突っ切り、住宅街の中を約10分ほど歩いたところに「松庵文庫」はあります。
大きなクスノキが目印。見た目は一軒家そのもので、まるでどなたかの家に招かれたような気持ちになります。
それもそのはず、もともとは音楽家のご夫婦が住まわれていた普通の家。築80年にもなる昔懐かしい日本家屋を、お店としてオープンする際にリノベーションしています。
入り口を開けて一歩入ると、ノスタルジックな空間が。昔の日本家屋の玄関に、思わず「おじゃまします」と言ってしまいそうに。
靴を脱いであがると、なんだか実家に帰ってきたような安心感があります。
入ってまっすぐ進むと見えてくるのが、大きなツツジの木。なんと樹齢100年にもなるのだとか。
「もともと私も近所に住んでいたのですが、この建物に住まれていた奥様に、旦那さんが亡くなられてこの家を手放すというときにこの家へ招いていただきました。そのときに“このツツジの木だけは残したい”とおっしゃって。私もこの素敵なお家を壊すのはもったいないなと思ったので、いろいろ考えて私が受け継ぐことにしました」と店主の岡崎友美さん。
この木が「松庵文庫」誕生のきっかけとなったのです。
毎年5月の初旬から中旬ごろに花が満開に。その時期は、たくさんの方がこのツツジを見に訪れるのだそうです。
1階の奥は広々としたカフェスペース。もともとの家の造りをそのまま活かした造りになっていて、柱や扉などがどことなく懐かしい雰囲気です。
キッチンというより、お勝手という雰囲気の厨房。ここですべてのメニューを調理しています。
暖かな日ざしが差し込む一番奥の席は、実は元お風呂場。壁のタイルに面影が残っています。
ここはまるでサンルームのような暖かさ。のんびりツツジを眺めながらのんびりひなたぼっこも、優雅でいいですね。
人気の季節感と店主こだわりの食材が楽しめる「お米御膳」
「松庵文庫」で人気が高いランチメニューは、「お米農家やまざきのお米御膳」(1501円)。
その名の通り、茨城の農家「お米農家やまざき」さんのコシヒカリ「ひなたの粒」を使った店主こだわりのメニューです。
「ひなたの粒」は無農薬米で、除草剤や消毒剤、殺虫剤などの農薬を一切使用していないのだそう。肥料も有機質肥料を使っています。
「立ち上げのときにかかわっていただいた方に紹介してもらったことがきっかけで、このお米に出合いました。“お米農家やまざき”さんのお米を初めて食べたとき、今まで食べていたお米ってなんだったんだろう、と思うほど衝撃を受けたのを覚えています。無農薬なので雑草取りなど大変なのですが、呼びかけるとファンがみんなで手伝いに行くんです。愛のたくさん詰まったお米なんですよ」
鬼怒川が崩壊して稲刈り直前の田んぼにダメージを与えたときも、翌日から人々が続々とヘルプに駆け付けたのだとか。「ひなたの粒」に魅了されたファンが全国にたくさんいるのですね。
こちらのお膳のご飯は五分付き。一粒一粒がしっかりしていて、噛めば噛むほどお米本来が持つ甘みが感じられます。お米の味わいをじっくり堪能できます。
ちなみに、こちらの「ひなたの粒(白米または玄米)」(1㎏864円)は店内のショップで販売しています。
この日のおかずメニューをご紹介すると(左上から時計回りに)大和芋を練りこんだふわふわ食感の「飛竜頭の山椒あんかけ」、ニンジン、三つ葉、ひじきなどが入った「具だくさんたまご焼き」、山椒の香りがオツな「いりこと昆布の山椒佃煮」、そして自家製コチュジャンを使った「茄子の味噌和え」。
「いりこと昆布の山椒佃煮」はおすましの出汁に使っている、香川県のやまくにいりこと昆布を佃煮にしているのだとか。山椒は和歌山県の山本勝之助商店という山椒の専門店の、ぶどう粉山椒を使用。爽やかで上品な山椒の香りが、クセになります。
こちらも左から、キュウリやニンジンなどシャキシャキ食感が爽やかな「彩り野菜の胡麻酢和え」、しっかり味のしみ込んだ「お魚(鱈)の幽庵焼き」、鶏ひき肉を使ったヘルシーな「一口ミートローフ」、そして出汁がたっぷりしみ込んだ「椎茸の含め煮」。
どれも素材の味がしっかり生きていて、邪魔しない程度の味付けがちょうどよい塩梅。
ご飯にも合うので、バランスよくヘルシーにいただけます。
おかずは季節や仕入れた食材によって内容が変わるそう。訪れるたびに、違いを楽しめるのも嬉しいところ。
「御膳のメニューは、季節感を大事にしています。できるだけ旬なものや、その季節の美味しさを提供したいと思っています。ひとつひとつお店で丁寧に作りながら、安心安全を心がけています」
メニューはすべて岡崎さん自身で考えられているそう。周囲にグルメな方が多く、お取り寄せの食材や調味料は知人からの紹介が主なのだとか。自身が食べてみて納得したものだけをメニューに取り入れているので、御膳に並ぶのは厳選されつくした逸品たちばかりなのです。
「松庵文庫」に並ぶ街の本屋さんがセレクトしたセンスが光る書籍たち
「松庵文庫」は“文庫”というだけあって、ブックカフェ。ところどころに本棚が置いてあります。
基本的に、衣食住などの生活にまつわる本が中心に置かれています。本棚の本は自由に読めて、購入も可能です。
「本のセレクトは荻窪の“Title”という本屋さんにお願いしています。私自身が“Title”に行ったとき、こんな本屋さんいいな、と自分のイメージにマッチしたんです。新刊をそろえながらも街に密着したこだわりを持った品揃えが素敵だなと思いました。それからずっと“Title”さんに“松庵文庫”のお客さまに喜んでいただけそうな本を選んでもらっています」と岡崎さん。
食事を待つ間やコーヒーを飲みながら、ゆっくり本を眺めるのも、有意義で贅沢な時間ですね。
お店で感じた「いいな」をすぐに取り入れられる!
1階にはカフェスペースのほかにショップも。「お米御膳」で提供しているお米や調味料だけでなく、食器類も購入することができます。
食べて味が気に入って調味料を買っていく方や、箸の使いやすさに一目ぼれしてお土産に買って帰る方もいるのだとか。
「いいな」と感じたその体験をすぐに自分の生活で取り入れることができるなんて、素敵ですよね!
2階はギャラリースペースになっていて、ワークショップなどを開催するときに使用するのだとか。
木目の天井や押し入れのある部屋でのワークショップは、まるで祖父母の家で夏休みの自由研究をしているような懐かしい気持ちになりそうですね。
まとめ
暖かな日差しが射し込む建物は、癒しの空間そのものでした。女性同士でおしゃべりに華を咲かせてもよし、1人で本を読みながらプライベートな時間を満喫するもよし。古き良き古民家で心にも体にも優しいランチタイムを、ぜひ体感してみてはいかがでしょうか?
西荻窪 松庵文庫
- 営業時間
- 7:00~12:00、17:00~22:00
- 定休日
- 月・火曜日
- HPなど
- http://shouanbunko.com/
- 電話
- 03-5941-3662
- 住所
- 東京都杉並区松庵 3-12-22 Google Mapで見る